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詐欺の被害をなくすためのブログ

詐欺罪とは?詳細な解説

生活していると、誇大広告だったり、品質表示の偽装だったり、詐欺的行為を見かけることが多々あります。

よく人をだます=詐欺と勘違いしている人がいますが、人をだますだけで刑法の詐欺罪が成立するわけではありません。

また、詐欺的行為刑法上の詐欺は明確に違います。

刑法上の詐欺罪が適用できる範囲が狭いため、特商法だったり出資法だったり、金商法だったりで詐欺的行為を取り締まったりしているのです。

そこで、今日は刑法上の詐欺罪について改めて勉強しましょう。

 

そもそも、詐欺罪とは?

詐欺罪は、刑法第246条で規定されています。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、 又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

条文はたったこれだけです。

詐欺罪の主体

特に制限はありません。

詐欺罪の客体

詐欺罪の客体は他人の財物及び他人の財産上の利益です。

刑法では、第246条第1項で他人の財物を、同条第2項で他人の財産上の利益を保護しています。

財物とは

詳しくは『刑法犯における財物の概念』を参照してください。

自分の財物であっても、場合によっては「他人の財物」とみなされることもあります。

たとえば、自分の財物であっても他人が占有している場合公務所の命令によって他人が看守している場合などは、自分の財物であったとしても(財物の所有権が自分にあったとしても)「他人の財物」とみなされます。

なお、窃盗罪や強盗罪の場合の"財物"は動産に限られていますが、詐欺罪の場合には不動産も"財物"に含まれます。

財産上の利益

財産上の利益とは、"財物"以外の財産上の利益のことをいいます(大判M43.5.31)。

利益というのは、計数的に算出できるものに限られません。

また、債権の取得といった積極的利益だけでなく、債務の免除等の消極的な利益であっても"財産上の利益"になります(大判M42.12.13)。

ここでいう利益というのは、一時的なものでも永久的なものでもよいとされています(大判T3.2.17)。

判例で"財産上の利益"として認めれた主なものとしては、債権の取得(大判T14.3.20)、債務の免除(大判M42.12.13)、債務履行の延期(最決S34.3. 12)などがあります。

不法の利益

"不法の利益"の"不法"とは、利益を取得する手段が不法であることを意味します。

たとえば、「覚せい剤の密売で得た利益」のように利益そのものが不法である必要
はありません(大判S13.10.4)。

不法原因給付

民法第708条では次の通り規定されています。

民法第708条
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

このように、不法の原因に基づいて給付した者は、給付した物等の返還請求はできません。

不法の原因とは、原因行為が公序良俗に反する事項を目的とする場合のことをいいます。

民法上の不法原因給付に当たるとされた事例としては、密航資金の貸与(大判T5.6.1)、賭博による負金債務の負担最判S46.4.9)などがあります。

 

通説・判例被欺罔者が交付した財物が不法原因給付物であっても詐欺罪の成立を認めていいます

たとえば

・紙幣を偽造する資金を騙取した場合(大判M43.5.23)
・闇米を買うと欺いてその代金を騙取した場合(最判S25.12.5)
には、それぞれ詐欺罪の成立を認めています。

民法第708条の但し書きに書かれているとおり、不法な原因が受益者にのみ存在する場合には交付した財物の返還請求をすることはできます。
つまり、純然たる詐欺の被害者である場合は、犯人に対して交付した財物の返還請求をすることができるということです。

行為

詐欺罪の行為とは、他人を欺いて財物又は財産上不法の利益を自己若しくは第三者に交付させることです。

 
 
 

詐欺罪が成立するためには、以下の三つの要件が満たされていることが必要です。

1 欺岡(ぎもう)行為に基づいて、被欺問者が錯誤に陥ること
2 被欺罔者が錯誤に基づいて財産的処分行為をすること
3 財物又は財産上不法の利益を得ること

それに加えて、各構成要素の相互間に定型的因果関係が存在していなければなりません。

欺罔

刑法第246条の条文中の「欺く」というのは、欺罔することを指します。

欺罔というのは、相手方に客観的事実と一致しない意思、つまり錯誤を生じさせる行為のことです。

欺罔行為というのは、一般人を錯誤に陥らせる可能性のある行為であればよく、誰もがだまされる程の行為までは必要ありません。

また、欺罔の手段や方法には何の制限もありませんので、言語だけでなく動作でも構いませんし、直接的であっても間接的であっても構いませんし、作為による欺罔であっても不作為による欺罔でも構いません。

判例によると、相手が錯誤に陥っている場合に、これを持続助長させる行為も欺罔に当たるとされています(大判決S3.7.10)。

欺罔の内容

欺罔とは、相手方が財産的処分行為を行うにあたっての判断の基礎となるような事実を偽るものでなければなりません。

事実を偽る場合には、現在又は過去の事実だけでなく、将来の事実に関する事項であっても欺罔行為になります(大判T6.12.24)。

例えば、会社の業績が悪化しているにもかかわらずに、虚偽の決算報告書を作成して融資を受ける行為なども「現在や過去の事実を偽る」と言えます。
また、絶対に返済する気がないにもかかわらず「1年後には2倍にして返すから!」なんて言って借金する行為は「将来の事実を偽る」ことになると考えられています。
絶対的な基準ではないですが「告知内容が真実でないことを相手方が知ったならば、財物の交付又は利益の供与をしなかったであろう」と考えられる場合には欺罔に当たると考えてもいいのではないかと思います。
欺罔の程度

どの程度の欺罔行為が行われれば詐欺罪に該当するかということについて、判例では「欺罔行為の際の具体的な事情を前提として、一般人を錯誤に陥らせる可能性のある行為であれば足りる(大判S3.7.10)と判示しています。

事実の不告知

取引や契約において一定の告知義務が存在する場合、たとえば保険契約における告知義務を守らなかった場合などには、事実の不告知(不作為)が欺罔行為にあたると判断されます。

直接的に法令の規定で認められている場合(保険契約における告知義務など)のほかに、判例では、広く契約上・慣習上・条埋上認められる場合(大判S8.5.4)、信義誠実を旨とする取引上の必要から認められる場合(大判S4.3.7)についても不作為による欺罔を認めています。

【告知義務の有無の判断要素】
当該事実の不告知が、取引において通常行われるものとして容認される程度を超えるものであるかどうか(取引における信義誠実の原則から見て社会的相当性の枠を超えるものかどうか)
【不作為による欺罔を肯定した判例
〇夫が被保険者たる妻の生命に関する重大な疾病について黙秘して生命保険契約を締結した上、同疾病によって死亡した妻の生命保険金を保険会社から取得した場合(大判S7.2.19)【取引の目的物の属性の不告知】
生活保護の実施機関が被保険者の収入状態を過少に認識しているのに乗じて、生活保護法第61条の届出義務に違反して、あえて収入の届出をしないで不正な額の保護費を受給した場合(東京地判S47.8.4)【取引当事者の属性の不告知】
【不作為による欺罔を否定した判例
●事業不振の結果、使用人を解雇して事業を縮小し、また、約束手形が数回不渡りとなるなど自己の信用状態が悪化しているのに、その事実を告げずにセメントを買い掛けした場合(福岡高判S27.3.20)
●土地の売主が、買主に対して当該土地に対する法規制の有無や内容を告知しなかった場合(東京高判H元.3.14)
商略的言辞

商略的言辞とは、商売上の策略・商売の駆け引きを行う上での文言のことです。

日常的に行われている商取引においては、販売業者等が誇大な形容表現を用いて商品や業務を吹聴することがあります。

「地域最安値!」といった表現や「この価格で買えるのは今だけ!」というような表現は日常的に見るようなものであり、この程度の表現であれば必ずしも違法になるというわけではないと判例(東京高判S30.7.20)で判示されています。

しかし、この判決では同時に、取引上においても商品又は業務に関する具体的事実を虚構し、人に物品の価値判断を誤らせて買受の決意をさせる行為はそもそも違法な欺罔手段であるというべきであって、これを違法性のない商略的言辞と同一視することはできないとも言及しています。

また、別の判例(最決S34.9.28)では、例え価格相当の商品を提供していたとしても、事実を告知していれば相手方が金員を交付しなかったであろう場合において、ことさら商品の効能などについて真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させたうえで金員の交付を受けた場合は詐欺罪が成立するとしています。

一方、宣伝の内容に真実とは異なる面があった場合であっても、その程度が一般的・抽象的なものであって、商取引上における駆け引きとして許され得る商略的言辞に属するものであれば、詐欺罪における欺罔行為(取引上重要な具体的事実の虚構)というには不十分であると考えられています。

欺罔の相手方(被欺岡者)

被欺罔者は、必ずしも財産上の被害者と同じである必要はありません(最判
S24.2.22)。

「スーパーの店員に対して欺罔行為をおこなって商品を騙し取ったとしても、被害者はスーパーの店員ではなく店舗になる」と考えると、しっくりくるかもしれません。
しかし、被欺罔者は財物又は財産上の利益について処分行為をなし得る地位や権限を有する物でなければなりません。(大判T6.3.8)。
つまり「スーパーの店員と思っていた人物に対して欺罔行為をして財物を騙取したけど、実は被欺罔者はそのスーパーとは何の関係もない人だったような場合」には詐欺罪は成立しないということです。(この場合は窃盗罪等の成立を検討することになる)
訴訟詐欺

裁判において、証人に偽証させたり、虚偽の証拠を提出するなどして裁判所を欺き、勝訴判決を得ることで敗訴者から財物を交付させる場合(いわゆる訴訟詐欺の場合)には、判例では裁判所を被欺罔者とする詐欺罪の成立を認めています(大判M44.5.5)。

広告詐欺

欺罔行為は、必ず特定の人に向けられていなければならないというわけではありません。

いわゆる広告詐欺のように、欺罔行為が不特定の人に向けられるものであっても詐欺罪における欺罔行為になります(大判M38.4.21)。

欺罔行為者以外の者が財物の交付を受ける場合

詐欺罪において、欺罔行為者と財物の交付を受ける者が一致するのが大半です。

しかし、欺罔行為者と財物の交付を受ける者が一致しないからといって、詐欺罪の成立が否定されるわけではありません。

つまり、欺罔行為者以外の第三者に財物を交付させた場合にも詐欺罪は成立します(最判S26.12.14)。

ただし、この場合にも第三者情を知らない欺罔行為者の道具的立場の者だったり、欺罔行為者の代埋人的立場の者であるなど欺罔行為者と第三者との間に特別な関係が存在していることが必要です。

欺罔行為者と全く無関係な第三者に財物を交付させた場合には、欺罔行為者による不法領得の意思が認められないので詐欺罪は成立しません(大判T5.9.28)。

 

錯誤

一般的に、錯誤とは観念と真実との不一致を指します。

ただ、欺罔行為によって惹起される錯誤は、財産的処分行為の動機付けとなれば十分です。

錯誤の原因は欺罔行為だけに限られません。

錯誤の原因としては被欺罔者の不注意、無知、過失等の事情も認められています(大判T14.4.7)。

財産的処分行為

財産的処分行為については、刑法第246条の条文では全く触れられていません。

しかし、財産的処分行為は条文に書かれざる構成要件要素として詐欺罪の成立に欠
かすことはできません。

財産的処分行為に該当するか否かは、主観的要件客観的要件の二つの要件のどちらもを満たしているかどうかで判断されます。

 

主観的要件というのは、被欺罔者が処分意思を有していることです。

 
客観的要件というのは、財産的処分行為自体が処分意思に支配された行為であることです。
 
コンビニエンスストアでは、自分で注ぐタイプのコーヒーが販売されていますよね。
レギュラー(R)サイズの容器を購入しているにもかかわらず、機械を操作するときにレギュラーよりも高額なラージ(L)サイズのコーヒーを注ぐ人もいます。
結論から言うと、このような場合には窃盗罪が成立します。
 
詐欺罪の成立に欠かせないのが、財産的処分行為なのですが、被欺罔者自身が財産的処分行為をしなければ詐欺罪は成立しないというのが、詐欺罪の難しいところです。
たとえば、「向こうで別の客が呼んでいる」と嘘を言って店員の注意を逸らせたうえで商品を取るような行為は、被欺罔者による財産的処分行為が認められないから窃盗罪に当たります。
被欺罔者、つまり騙された人による財産的処分行為が詐欺罪の成立には欠かせないということです。
そのため、コンビニエンスストアのコーヒーの機械を不正に操作して、Rサイズの料金しか払っていないにもかかわらずLサイズの量のコーヒーを受け取る行為は詐欺的手段を用いた窃盗罪となるんです。
しかし、機械が相手だったら詐欺罪が成立しないかというと、そういうわけではありません。
たとえば、セルフ式のガソリンスタンドで偽造したクレジットカードを給油機に挿入してガソリンを不正に給油した場合なんかは詐欺罪に当たります。
 
セルフ式のガソリンスタンドというのは、スタンドの従業員が事務室内に設置している端末を操作して給油を許可することで客の給油が可能となる仕組みになっています。
このように、機械を通してでも"人(被欺罔者)"の介在が認められる場合には詐欺罪に当たることとなります。

以上の説明のように、財物の移転が被欺罔者の行為によってではなく欺罔者自身の行為によって行われている場合には、客観的要件(処分意思に支配された行為という要件)を満たしませんので詐欺罪ではなく窃盗罪が成立します。

また、財産的処分行為をすることができない精神障害者などを欺罔して財物を交付させた場合にも詐欺罪は成立せず、窃盗罪や準詐欺罪の成立を検討することになります。

財物又は財産上不法の利益の取得

財物の取得

財物の取得とは、欺罔行為によって錯誤に陥っている被害者の財産的処分行為(財物の交付)に基づいて財物の占有を取得することをいいます。

財産上不法の利益の取得

財産上不法の利益の取得は、財物の取得と同様に、欺罔行為による相手方の錯誤に基づいて行われる財産的処分行為によって行われることが必要です(最判S30.4.8)。

犯意

詐欺罪における犯意には、他人を欺罔して錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく処分行為によって財物等を取得することの認識・認容が必要です。

この認識・認容は未必的なものであっても構いません。

なお、詐欺罪の成立には犯意のほかに不法領得の意思も必要です(大判T11.12.15)。

詐欺罪の着手時期

詐欺罪の着手時期は、犯人が欺罔行為を開始した時点です。

欺罔行為を開始しただけで詐欺罪の着手と認められますので、その欺罔行為によって相手方が錯誤に陥ったかどうかは問いません。

【保険金詐欺の着手時期について】
保険金詐欺については、当該保険に加入した時点ではなく、保険会社に保険金の支払い請求をした時点が着手時期となります(大判S7.6.15)。

詐欺罪の既遂時期

詐欺罪は、財物の占有あるいは財産上の利益が犯人又は第三者に移転した時点で既遂に達します。

しかし、各構成要件要素間の定型的因果関係が欠けるときは未遂となります。

 

たとえば、詐欺の犯人が老婆から現金をだまし取ろうと欺罔行為を開始したとします。

その老婆は犯人の嘘を見抜いたことで錯誤に陥らなかったのですが、犯人が可哀そうだから犯人にお金を渡してしまいました。
このような場合では欺罔による錯誤⇒財産的処分行為という定型的因果関係が切れていると判断されるから、詐欺罪の既遂は成立せずに未遂罪が成立することとなります。

よく、騙された人が「最初っから怪しいと思ってたんだよね~」と言い訳をしたりするのですが、その場合は厳密にいえば詐欺未遂にしかなりませんし、詐欺師にお金を寄付してやっただけに過ぎないともいえます。

事案の態様による既遂時期

不動産の騙取

客体が不動産の場合は、観念的な所有権の移転ではなく所有権移転登記や実際の土地の引渡しなどによって既遂とります(大判T11.12.15)。

有価証券の騙取

手形や小切手などの有価証券が被害品である場合、殆どのケースでは行為者の最終的な目的は現金の取得であると思います。

 

有価証券を騙取した時点では現金そのものを受け取ったわけではありませんので、欺罔者の目的は達成されていないわけですが、判例では有価証券そのものの交付を受けた時点で詐欺罪は既遂となるとされています(大判S16.8.20)。

預金口座を利用した金銭の騙取

金銭を直後受け取る代わり に預金口座に振り込ませる場合には, 犯人の口座に現金の振込みがなされた時点で詐欺罪が既遂となります(大判S2.3.15)。

既遂・未遂の判断における財産上の損害の要否

詐欺罪が成立するか(既遂になるか)を判断するために財産上の損害が必要か否かという点については、財産上の損害の発生は必要ない(大判T2.11.25)という見解と財産上の損害の発生は必要ではあるが、財物の交付自体が財産上の損害に当たる(大判S17.4.7)という二つの見解があります。

通説・判例は、犯人が価格相当額の対価を提供している場合だけでなく、価格相当額以上の対価を提供している場合であっても詐欺罪の成立を認めています。

詐欺罪の被害額

欺罔者が要求した金額と、被欺罔者が交付した額が異なる場合

判例(大判S10.5.24)によれば、欺罔行為によって相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づく処分行為によってその金額が交付され、欺罔者がこれを受領したという関係が認められれば、現実の交付額が被害額となるとされています。

欺罔者から被欺罔者に対して対価が提供された場合

欺罔者から被欺罔者に対して対価が提供された場合の被害額は、被欺罔者が交付した財物の価格から対価を差し引いた差額ではありません。

この場合の被害額は、被欺罔者が交付した財物の額そのものが被害額となります(大判T4.6.1)。

権利行使と詐欺罪

法律上は他人から財物等を取得する権利を有する者が、権利実行の手段として財物等を騙取した場合は、恐喝罪に関する最高裁判例最判S30.10.14)に準じて詐欺罪が成立するか否かを判断します。

この恐喝罪に関する最高裁判例では、「債権取り立てのために執った手段が権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず交付を受けた金額の全額につき恐喝罪が成立する」と判示されています。

このことから、権利行使のために執った欺罔手段が社会通念上一般に容認すべき程度を超えた場合には、権利行使の範囲の内外にかかわらず、騙取した財物等の全額について詐欺罪が成立すると考えられています。

罪数と他罪との関係

罪数

一個の欺罔行為で相手方に財物を交付させ、かつ相手方から財産上不法な利益を取得した場合

一つの欺罔行為で相手方に財物を交付させ(1項詐欺の既遂)、その上で相手方から財産上不法な利益を得た場合(2項詐欺の既遂)には、二つの行為を包括して一個の詐欺罪が成立します。

一個の欺罔行為によって数人を欺罔し、財物を騙取した場合

欺罔行為自体は一個ですが、財産の占有を侵害された人は複数に及びます。

ですので、このような場合の詐欺罪は観念的競合となります。(包括一罪とする見解もあります)

数個の欺罔行為によって同一人から財物を騙取した場合

単一の犯意で遂行されたものと認められる限りは一個の詐欺罪が成立するにとどまります。

詐欺罪と他罪との関係

放火罪との関係

保険金を騙取する目的で放火して保険金を騙取した場合は、詐欺罪と放火罪(現住建造物等放火罪または非現住建造物等放火罪)の両罪が成立し、併合罪となります。(大判S5.12.12)。

偽造(変造)通貨行使罪との関係

偽造(変造)の貨幣 ・紙幣 ・銀行券を行使して相手方から財物を騙取した場合や、財産上不法の利益を得た場合には、詐欺罪は行使罪に吸収されます(大判M43.6.30)。

 
文書偽造(変造)罪との関係

文書偽造(変造)・同行使罪と本罪は牽連犯となります(大判M42.1.22)。

しかし、詐欺罪の証拠隠滅を図るために文書を偽造(変造)してこれを行使した場合には、文書偽造(変造)・同行使罪と詐欺罪は併合罪となります。
詐欺罪の証拠隠滅を図る目的で文書を偽造(変造)することは、本件の詐欺とは別個の行為とみなされるということです。
有価証券偽造罪との関係

有価証券偽造・同行使と詐欺罪は牽連犯の関係になります。(大判T3.10.19)。

また、有価証券に虚偽の内容を記入し、その有価証券を行使して詐欺罪を犯した場合も有価証券虚偽記入・同行使罪と詐欺罪は牽連犯となります(大判T13.10.10)。

 
窃盗罪との関係

窃盗罪で得た盗品を処分する行為が詐欺罪の構成要件に該当する場合には、詐欺罪によって新たな法益を侵害したことになります。

ですので、その場合には窃盗罪の不可罰的事後行為に当たらず、詐欺罪が成立して窃盗罪との併合罪となります。

たとえば、窃取した郵便預金通帳を利用して郵便局員を欺罔し、貯金の払戻しを受けた場合最判S25.2.24)や、タクシー乗車券を窃取した後で同タクシー乗車券を使用してタクシーに乗車した場合(秋田地判S59.4.13)には、窃盗罪のほかに詐欺罪の成立を認めています。

背任罪との関係

他人のためにその事務を処理する者が,本人(事務の委託者)を欺罔して財物又は財産上不法の利益を取得した場合は、詐欺罪のみが成立します(最判S28.5.8)。

 
恐喝罪との関係
欺罔及び恐喝の両方の手段が併用された場合

欺罔による錯誤恐喝による畏怖の両方が原因となって財物が交付された場合は、詐欺罪と恐喝罪の観念的競合となります(大判S5.5.17)。

脅迫の中に虚構の事実が含まれていた場合

財物を交付するに至った相手方の決意が畏怖に基づく場合は、脅迫の中に虚構の事実が含まれていたとしても恐喝罪のみが成立します(大判S5.7.10)。

横領罪との関係

欺罔手段を用いていたとしても、自己の占有する他人の財物を横領した場合には横領罪のみが成立します(大判M43.2.7)。

その他の参考事項

未遂処罰規定

刑法第250条において、詐欺罪の未遂は処罰されることが明記されています。

親族相盗例の適用

刑法第251条の規定により、親族相盗例(親族間の犯罪に関する特例、刑法第244条)の規定が準用されます。

被害品(交付した財物)の返還請求

詐欺罪で財物を交付した場合、犯人や悪意取得者に対しては瑕疵ある意思表示として財物の交付の取り消しを主張することができます。

しかし、詐欺罪における財物の交付は一応自らの意思で行っているものですので、原則として、財物の交付の意思を取り消さない限りは被害者の所有権は保護されません。

ですので、被害者は犯人や悪意取得者に対しては財物の交付の意思を取り消す旨の意思表示ができますが、善意取得者に対しては同様の主張をすることができません。

民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
民法第193条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
民法第194条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

まとめ

世の中には「簡単に稼げる!」って言う話が溢れていて、そういう謳い文句で情報商材が売られたりしています。

そういう怪しげな情報教材を購入して、稼ぐことが出来なかったから「詐欺だ!」と声高に言う人を良く見かけますが、「簡単かどうか」と判断するのは実践してみた個人の感想による部分が大きいので、詐欺罪の成立を立証するにはかなりハードルが高いです。

そもそも、仮に詐欺罪に該当して犯人が捕まったとしてもお金は戻ってきません

警察は犯人を捕まえてくれても、お金を取り戻してくれることはありません。

どんなに有能な弁護士でも、お金を持っていない犯人からお金を取り上げることはできません。

詐欺師に騙し取られたお金を取り戻すことは、ほぼほぼ不可能なのです。

詐欺師にお金を渡さないようにすることこそが、唯一かつ絶対的な防衛手段に他なりません。

正しい知識を身につけて、大切なお金を詐欺師から守りましょう。

固定金利と変動金利の違いは?頭金は支払うべき?住宅ローンの疑問を解消!

※2018年5月に掲載した記事の再掲です。※

 

最近、マイホームの購入を検討しています。

マイホームを購入するにあたり、皆さんが頭を悩ませるのが住宅ローンではないでしょうか。

住宅ローンを検討するにあたり、住宅メーカーの担当者からファイナンシャルプランナーの方を紹介していただき、気になる点を聞いてきましたので、自分の備忘録とするためにもココでまとめたいと思います。

変動型と固定型の特徴

変動型のメリットとデメリット

変動型というのは、ローンの期間中に金利が変動するタイプをいいます。

金利は半年ごとに見直されるのが一般的で、マーケットの短期金利(取引期間1年未満の金利)が動くと連動して上下します。

変動型の一番のメリットは、何といっても金利が低いことです。

2018年2月現在、大半の銀行は1パーセント以下の金利でローンを組むことが出来ます。

変動型のメリットでもあり、デメリットでもあるのが金利が変動することです。

「今後、金利が下がる可能性がある」と考える人にとっては、金利の変動はメリットといえますが、「今後、金利が上がる可能性がある」と考える人にとっては、金利の変動はデメリットです。

固定期間選択型のメリットとデメリット

固定期間選択型というのは3年、5年、10年などと、金利を固定する期間を選べるタイプのことをいいます。

固定期間中は金利も返済額も固定されるのですが、固定期間が終了すると、その時点の金利で変動型か固定期間選択型を選ぶことになります。

固定期間終了の時点で金利が下がっていれば返済額は下がりますし、金利が上がっていれば、もちろん返済額も上がります。

後で説明しますが、変動型ならば適用される1.25倍ルールの適用を受けることがありません。

固定型(フラット35)のメリットとデメリット

返済期間中の金利がずっと固定されるのが(全期間)固定型です。

固定型の金利は、マーケットの長期金利(10年国債金利など)を基準に決められます。

固定型の一番のメリットは、金利が変動せず、返済額もずっと変わらないことです。

逆に、デメリットとしては、変動型に比べて金利が高めなことになります。

変動型・固定期間選択型で考慮しなければいけないこと

変動型の落とし穴?1.25倍ルール

変動型では半年ごとに金利が見直されますが、5年間は返済額は変わりません(5年ルール)。

私の場合で例を出します。

3,000万円の35年ローンを1.2パーセントの金利で借りて頭金なしで支払っていき、毎月の返済額は87,510円、ボーナス払いはないものとします。

返済している87,510円は、全てが元金を返済しているわけではなく、利息分と元金を合わせた額になっていて、第一回目の分は元金の支払いが57,510円、利息分の支払いが30,000円になります。

もし金利が上昇しても、5年間は毎月の支払金額(87,510円)は変わりませんが、その内訳は利息分の支払いが増えて、例えば35,000円が利息分の支払い、52,510円が元金の支払いというふうに変化するのです(もちろん、金利が下がれば元金の支払いの割合が増えることとなります)。

金利の変動がなかったり、緩やかな場合はそんなに問題にならないのですが、金利が急激に上昇するようなことになると注意が必要です。

私の例でいけば、5年0カ月の時点の支払いは87,510円(元金61,004円、利息分26,506円)となっており、金利が1.2パーセントのまま変動していなければこのままの金額を支払うことになります。

金利が1パーセント上昇すると毎月の支払いが約15,000円増加すると言われていますので、変動金利の見直しの時点で、当初の金利より1パーセント上昇していたとすると、5年目から10年目の支払いは約102,510円となるのです。

金利が1パーセント上昇すれば毎月の支払いが15,000円上昇するということは、2パーセントならば30,000円、3パーセントならば45,000円も毎月の支払いが上昇するということです。

金利が3パーセント上昇し、毎月のローンの支払いが132,510円になったとすると…想像するだけでもおそろしいですよね、破産まったなしです。

しかし、実際にはこのように支払いが増えることはありません。

金利の見直し時に金利が上昇していて、これまでの支払いよりも金額が増えるとしても、今までの1.25倍までしか返済額は増えないのです。

5年後の金利の見直し時に金利が4.2パーセントに変動していたとしても、私の場合は87,510円の1.25倍である109,387円までしか支払わなくていいということになります。

これを、1.25倍ルール(125パーセントルール)といいます。

しかし、ここで注意が必要なのは、金利の超過分(132,510-109,387=23,123円)が免除されるわけではないということです。

この超過分は、未払い分として残債の中に蓄積されていきます。

ですから、「月々の支払いを滞納せずにちゃんと支払っているにもかかわらず、思ったよりも元金が減っていない。」ということも起こり得るのです。

また、急激な金利の上昇によって、月々の返済額より利息が多くなってしまい、返済しても借入元金が減らずに利息が積み上がる『未払い利息』が発生する場合もあります。

仮に『未払い利息』の状態になったとしても、その後に金利が下がれば『未払い』の状態が解消することもありますが、借入期間内に未払い利息が完済できない場合は、最終返済時に一括して支払うことになるのです。

「35年のローンから解放されたと思ったら、一番最後に追加で500万円を請求された」なんてこと、考えたら恐ろしいですよね。

固定期間選択型の落とし穴

ここでは、10年固定を選択したとして話を進めていきます。

10年目までは、どれだけ金利が変動しようと金利が固定されていますので、金利が上がろうとも上記の表のように返済していくことが出来ますし、金利が下がったとしても元金を多めに返せるわけでもありません(この点はメリットでもありデメリットでもあります)。

そして、10年目には金利の見直しがあります。

金利が下がっていた場合は良いのですが、金利が上がっていた場合、特に大幅に上昇していた場合には注意が必要です。

今回のモデルでは、金利が1パーセント上昇すれば毎月の支払金額が約15,000円増えるということは先ほど前述したとおりです。

10年間の固定金利期間が終了した時に、仮に金利が3パーセント上昇していた場合、毎月の支払額は45,000円上昇することとなり、支払額は132,510円になります。

最初から変動金利だった場合は、急激な金利の上昇があったとしても、前述の1.25倍ルールがあるため毎月の負担額の増加も一定の範囲内で収めることが出来るのですが、10年固定の変動金利の場合は1.25倍ルールの適用はありません。

つまり、10年固定の変動金利の場合は、金利の上昇による支払額の増加がダイレクトに反映されてしまうのです。

毎月の家計が黒字で余裕がある家庭ならば良いのですが、毎月収支がトントンといった家庭だと、月の支払いが45,000円も増加すれば破綻するのは目に見えています。

1.25倍ルールの適用がないため、金利の影響が支払額の見直し時にはダイレクトに影響するのですが、変動型のように『未払い利息』が発生する心配はなく、滞納しなければちゃんと35年間でローンが終わります。

固定期間選択型は一番損する選択肢?

一般的には

変動型 < 固定期間選択型 < 固定型

という順に金利が高くなります。

・「変動型」は金利は安いが、今後の金利の動きを考えると不安が残る

・「固定期間選択型」は、変動型に比べると金利は高くなるけど、固定型に比べたら金利は安いし、10年(3年又は5年)間は金利も一定だから、10年後に金利を考えれる機会がある

・「固定型」は返済額が一定なのは魅力的だけど、金利が高いのが難点

このように3つのパターンが並べられると、ついつい人は真ん中の固定期間選択型を選んでしまいがちです。

しかし、この「固定期間選択型」という選択肢が一番悪く、金利の選択という重要な選択を先送りにしているだけの選択肢です(銀行は「固定期間選択型」を勧めてきますが、こういう営業の人は顧客の立場に立っていない人が殆どです)。

10年の固定期間を選択した場合、その間は一定の金利が保証されているわけです。

この間、金利が下がったとしても、もちろん金利が低下した分の利益を享受することはできません。

また、金利が上がったとしても、そもそも変動型の金利は固定期間選択型の金利よりも低く設定されているので、少しの金利の上下では変動型の方が有利の場合もあります。

そして、金利が急激に上昇した場合を考えると、固定期間のうちは確かに固定期間選択型の方が金利は低くなるでしょうが、固定期間が終了したときに訪れる金利設定時に金利が跳ね上がるリスクがあります。

金利が上昇トレンドにあり、さらに今後も上昇し続けると思われる場合は、通常は『借り換え』をすると思うのですが、このような『借り換え』は変動型を選択していた場合でも当然に行われることです。

このように、固定期間選択型の住宅ローンというのは、借り手にある程度の安心感を与えるように見せてはいるものの、実際のところは顧客にとって殆どメリットのない商品なのです。

悪く言えば、重要な決断を先延ばしにしているだけの、まるで日本の政治のような商品が固定期間選択型なのです。

銀行の営業も成績を上げてナンボの世界でしょうから、同じ金額を貸すにしても出来るだけ高い金利で貸したいに決まっています。

もし、これから住宅ローンの相談に行くのであれば、これまでの内容を頭に置いて話をすると、その人が本当に信用に足りる相手であるか否かというのが見えてくるかもしれません。

『借り換え』という選択肢

「今までA銀行の3.0パーセントの固定金利で住宅ローンを組んでいたけど、今はB銀行の変動金利が0.6パーセントまで下がっているから、B銀行で住宅ローンを借りなおそう。」というように、自分が住宅ローンを借りた時よりも契約条件が良くなる商品があれば、新しい住宅ローンに『借り換え』をすることができます。

上記の例に則れば、B銀行で現在の残高分を借り入れし、A銀行の従前の住宅ローンを完済、その後はB銀行に返済していくというのが住宅ローンの借り換えになります。

『借り換え』というと、市場の金利が下がった時に総支払額を少なくするために行うことが一般的な認識だと思います。

歴史的な低金利の今は、金利が低いうちに固定金利のものに借り換えることで将来の金利上昇のリスクを抑えたいという目的で『借り換え』をする人が多いです。

今後、金利がどうなるかという予測は誰でも出来ますが、確実な未来は誰にも分かりません。

「最初は変動型の金利で住宅ローンを組んでおいて、金利が上昇しはじめたら固定型にシフトしよう。」と考えている人もいます(私が相談したファイナンシャルプランナーの方はこの考えでした)。

ただし、変動金利が上昇し始めたときには、固定金利金利はすでに上昇してしまっていることも考えられ、上昇しはじめたというタイミングを掴むのは素人には至難の業です。

また、『借り換え』の際には保証料、手数料、団体信用生命保険料、印紙代、登録免許税、司法書士に支払う費用等々の費用がかかり、少なければ30万円ほど、多ければ300万円近くかかることもあります。

『借り換え』を行う際は、これらの費用も含めたうえで、借り換えの是非を考えなければいけません。

変動型か固定型か、選択できない人もいる?

住宅ローンを選択するにあたり、変動型を選ぶか固定型を選ぶかは個人の自由です。

しかし、結論からいうと、長期的な視点で変動型を選ばない方がいい人(そもそも選んではいけない人)がいるのも事実です。

このページを見ている方は、家を買おうとしていたり、既に家を買って住宅ローンを見直そうとしている人がメインだと思います。

その中で、ファイナンシャルプランナーの方に相談したことがある人は、一体どのくらいいるでしょうか?

私も、不動産の担当者に「会ってみますか?」と言われるまでは、全く相談しようなどと思ったことはありませんでした(不動産の営業の方にしてみれば、ファイナンシャルプランナーを紹介することで「家を買う資格はない」と判断されて契約を潰されかねないのですから、ファイナンシャルプランナーを紹介するのは勇気がいることだと思います)。

最初は「自分の収入とか支出とかを赤の他人に話すのは嫌だな。」という気持ちが強く、あまり乗り気ではなかったのですが、今では「相談してよかった。」と心から思います。

むしろ、家を買うなどという大きな決断を目の前に控えている人は、絶対に相談すべきです。

私がファイナンシャルプランナーの方から言われたのは「余剰資金がない人は、そもそも変動型の金利を選択してはいけない。」ということです。

ファイナンシャルプランナーの方に相談する際に、毎月の生活費のほか、家を購入した際の固定資産税、子供の教育費、車の買い替え資金、実家への仕送りなど、あらゆる支出を考慮したライフプランを作ってもらいました。

ファイナンシャルプランナーさん曰く、これら絶対に必要となる支出に含まれない「使途不明金」が、その家庭の余剰資金であり、この使途不明金が多ければ多いほど、その家庭の家計に余裕があるということでした。

また、この「使途不明金」が30万円を切ると、例えば病気で入院したりした際に一時的な支出が出来なかったり、家電が壊れて買い替えなければならなくなった時に買い替えることが出来なかったりして、少しのイレギュラーで家計が赤字になってしまい、破綻しやすくなるそうです。

ファイナンシャルプランナーの仕事は「家を買えるかどうか」を判断することではなく「家を買った後に、家計が破綻することなく幸せな家庭を維持していくことができるか」を判断することらしく、私の相談に乗ってくださったファイナンシャルプランナーの方は、前述の「使途不明金」が30万円を切るようならば、そもそも家を買うこと自体を反対しているそうです。

変動型と固定型を比較すると、借入時の金利のみを考えれば、変動型の方が金利が安いことは明白です。

しかし、35年という長い期間の中で、いつまでも低金利であるということを誰が保証してくれるのでしょうか?

保証なんて誰もしてくれません。

どんなに金利が上がろうと、住宅ローンを払っていくのはあなた自身です。

変動型には、必ず金利上昇というリスクが付きまといます。

そのリスクを考えた際、例えば、使途不明金(余剰資金)がある家庭ならば金利が上昇した際にもある程度は家計を維持していくことが可能でしょうが、使途不明金がカツカツの状態でローンを組んでいたとすれば、せっかく手に入れた念願のマイホームを手放さなければならない事態になってしまいます。

しかし、固定型であれば、支払いの期間や支払いの金額は一定ですから、借受け時の金利が割高になったとしても、金利の変動リスクを考えなくてもいいですし、将来にわたっての計画がとても立てやすくなります。

もちろん、職を失って収入が減るといった超イレギュラーな事態になれば家を手放さなくてはならないかもしれませんが、そのような場合には変動型を選択していたとしても同じ道を辿ることになると思います。

頭金は支払うべきか?

ローンを組むときに、金利と同じくらい頭を悩ませる問題が「頭金をどうするか?」ということだと思います。

以前は数百万の頭金がなければ家を買うことは出来ませんでしたが、金利が低くなった今は頭金なしのフルローンで家を買う人も多いようで、ウチの場合もそうです。

そもそも貯蓄がなければ頭金を払うことは出来ないのですが、頭金を支払うことができる場合、頭金を支払うべきなのでしょうか?

これから、貯金が500万円あり、35年の住宅ローンを全期間固定の金利1.2パーセントで借りるとして、支払い開始から10年後までをシミュレートしてみましょう。

頭金なし、3,000万円を35年ローンの場合(モデルA)

この場合、10年間で支払うお金は、87,510円×120カ月=10,501,200円になります。

元本の残金が22,671,479円となっておりますので、10年間で、3,000万円の借入額のうちの7,328,521円を返済したことになり、支払金額のうち3,172,679円が金融機関への利息ということになります。

頭金500万円を入金し、2,500万円を35年ローンにした場合(モデルB)

この場合、10年間で支払うお金は、72,925円×120カ月=8,751,000円になります。

元本の残金が18,892,925円となっておりますので、10年間で、2,500万円の借入額のうちの6,107,075円を返済したことになり、支払金額のうち2,643,925円が金融機関への利息ということになります。

頭金500万円を入金し、2,500万円を30年ローンにした場合(モデルC)

この場合、10年間で支払うお金は、82,727円×120カ月=9,927,240円になります。

元本の残金が17,643,833円となっておりますので、10年間で、2,500万円の借入額のうちの7,356,167円を返済したことになり、支払金額のうち2,571,073円が金融機関への利息ということになります。

忘れてはいけない住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に応じて一定額が所得税から控除される制度のことをいいます。

控除期間は10年間で、2021年12月までに家を購入して入居した人は、各年最大40万円、10年間で最大400万円が所得税から戻ってくることになります。

年末ローン残高が4000万円未満であれば、その残高の1%が最大控除額となり、4000万円以上の人は最大で40万円になります。

住宅ローン控除は「所得税」から控除されるのですが、納めた所得税よりも控除額が多い場合には「住民税」の一部が控除されることになります(住民税から控除されるのは、所得税の課税総所得金額等の額の7%、または13万6500円のうち小さいほうの額が上限となります)。

単純に考えると、年末の住宅ローンの残高が多いほど控除額も大きくなるということですね。

『繰り上げ返済』をした場合の総支出

では、前述の3パターンのモデルについて、10年後の住宅ローン控除がなくなる時点で繰り上げ返済を行うとしたらどうなるでしょうか。

頭金なし、3,000万円を35年ローンの場合(モデルA)

元本の残金が22,671,479円ありますが、10年経過した時点で、頭金として入金しなかった500万円を入金した場合には、残高が17,671,479円になります。

頭金500万円を入金し、2,500万円を35年ローンにした場合(モデルB)

ローン開始から10年経過後の元本の残金が18,892,925円あります。

頭金を入金しなかった場合(モデルA)に比べると毎月の支払額は少なくなっていますから、その差額分(87,510-72,925=14,585円)を毎月貯めていたとすれば、14,585円×120カ月=1,750,200円が貯まっていますので、これを繰り上げ返済に充てた場合は18,892,925-1,750,200=17,142,725円が10年経過後の残高になります。

頭金500万円を入金し、2,500万円を30年ローンにした場合(モデルC)

ローン開始から10年経過後の元本の残金が17,643,833円あります。

モデルAに比べると毎月の支払額は少なくなっていますから、その差額分(87,510-82,727=4,783円)を毎月貯めていたとすれば、4,783円×120カ月=573,960円が貯まっていますので、これを繰り上げ返済に充てた場合は17,643,833-573,960=17,069,873円が10年経過後の残高になります。

それぞれのモデルの比較

10年経過後のローン残高

・モデルA:17,671,479円(+601,606円)

・モデルB:17,142,725円(+72,852円)

・モデルC:17,069,873円

モデルBとモデルCを比較した場合、頭金500万円を入れた分、返済年数を5年短縮したモデルCであっても、ローン残高という観点からは約72,000円しか差がありません。

また、同じローンの支払い年数で、頭金がない場合(モデルA)と頭金がある場合(モデルB)を比較すると、約53万円の差がありますが、仮にモデルBの場合で毎月の貯蓄をしておらず、繰り上げ返済が出来なかった場合はモデルAの方がローン残高が約120万円ほど低くなります。

利息の支払い額

・モデルA:3,172,679円(+601,606円)

・モデルB:2,643,925円(+72,852円)

・モデルC:2,571,073円

利息の支払い額の差額はローン残高と同じです。

もちろん借入額が多い分モデルAの利息は多くなりますが、ローン開始から10年間に限れば住宅ローン控除があります。

モデルBやモデルCに比べると、トータルではモデルAの方が約50万円ほど多くの控除が受けられることになりますので、モデルAとモデルCの支払利息の差額は約10万円ということになります。

頭金を支払わないことのメリット

ローンの借入額を少なくし、返済期間を短くすれば、その分金融機関への利息の支払い額は減ります。

究極を言えば、住宅ローンを利用することなく、一括で自宅を購入すれば利息を払う必要はありません。

しかし、現実的には現金一括で家を買うことが出来る人など殆どいませんし、大半の人は住宅ローンを利用します。

では、頭金を支払わないメリットというのは何でしょうか?

それは、「貯金がある」という金銭的・心理的なゆとりを持てることです。

貯金があれば、急な病気や怪我等があって一時的に収入がなくなった場合にも対応することが出来ますし、仮に毎月の支払いが出来なくなりそうな時は貯金を切り崩して支払いをすることも出来ます(一時しのぎにしかなりませんが、貯金がなければ一時しのぎすらできなくなります)。

また、500万円を金融商品に投資するなどして10年後に運用益が出れば、それだけ多くの繰り上げ返済を行うこともできます(当然、投資には元本割れというリスクが伴いますが)。

『団信』は必要か?

『団信』、つまり団体信用生命保険とは、住宅ローン専用の生命保険のことをいいます。

団信に加入していれば、住宅ローンの債務者が死亡したときや高度障害状態になったときでも、住宅ローンの残金の分の保険金が金融機関に支払われ、住宅ローンを清算することができるようになっており、住宅ローンを組む時は団信の加入が条件とされていることがほとんどです。

団信の保険料は住宅ローン金利に含まれていることが多いため、この場合は別途保険料を支払う必要はありませんが、一部の金融機関やフラット35は任意加入となっているので、加入を希望する方は別途保険料の支払いが必要になります。

ファイナンシャルプランナーさんの話では、「団信に入るよりは、民間の保険に入った方がいい。」とのことだったのですが、時間がなくて殆ど話を聞けなかったので、詳しい話を聞いたらまた記事にしたいと思います。

まとめ

以上、住宅ローンを選択するうえで頭を悩ませる「金利の選択」、そして「頭金を支払うべきかどうか」についてまとめてみました。

はっきり言って、どの選択をしてもメリットとデメリットがあります。

色々と考えた結果、私は35年ローンを頭金なしで組もうという結論に至ったのですが、どの選択をしたとしても正解はないし、間違いもないというのが個人的な考えです。

住宅ローンは、人生における重要な決断のうちの一つです。

その決断に際して、様々な人からいろんな意見を伺うことはとても重要なことだと思いますが、絶対にオススメできないことは個人の意見を盲信して、自分の頭で考えずに言いなりになってしまうことです。

「何が良かったか」というのは、ローンを支払い終わる35年後にしか分かりません。

今は良くても、長い年月が経つことによって、トータルで考えれば悪い選択になってしまうこともあります。

大事なのは、自分自身の頭で考え、自分が一番納得できる答えを出すこと。

そして、良い結果であれ、悪い結果であれ、35年後の結果を受け入れる覚悟を持つことです。

住宅ローンも投資と同じで、結局は自己責任で、状況が悪化したときに保証してくれる人は誰もいません。

それを理解したうえで、後悔しない選択をしてほしいと思います。

 

インターネット詐欺の手口:被害を避けるためのポイント

現在、日本では詐欺の被害件数・被害額が高水準で推移していますね。

この記事を読む人の中には「自分だけは関係ない」とか「自分が騙されるわけがない」と思う人もいるでしょうが、詐欺師たちは様々な角度から人間の心理を巧みに操ってきます。

そのため「自分は騙されない」という固定観念を持っている人ほど騙されやすいのも最近の詐欺の手口の特徴です。

ここでは、インターネットショッピング詐欺の手口について、具体的な例を挙げて説明していきたいと思います。

インターネットショッピング詐欺とは?

インターネットショッピング詐欺とは、読んで字のごとくインターネットショッピングを通じて行われる詐欺のことです。

一般的な手口としては、インターネットショッピングサイトで商品を注文して代金を支払ったにもかかわらず商品が届かず、業者と連絡も取れなくなるといったパターンが多いようです。

インターネットショッピングサイト自体が巧妙に作られていますし、本物そっくりに作られた偽サイト(コピーサイト)が用いられることもあります。

次に紹介するのは、実際に存在する(していた)インターネットショッピングサイトを装った詐欺サイトのスクリーンショットです。

詐欺サイトの例1:yttingbag.website

このサイトは、パソコンで表示するとこの画面しか出てこず、表示されているリンクをクリックしても画面が切り替わることはありません。

しかし、スマートフォンで表示すると次のように画面が切り替わります。

スマートフォンのブラウザではリンクも正常に働きますし、普通のショッピングサイトのように商品をカートに入れることもできます。

しかし、サイト内のリンクから辿っていくことができる特定商取引に関する法律に基づく表記』を確認すると…

ブラウザに表示されているものとURLが全然違うことが分かります。

詐欺サイトの例2:prenatalyoga.xyz

このサイトはリンクに不自然な点もありませんし、一見するととても上手に作られているサイトです。

 

しかし、よく見ると漢字が一部不自然で、通販の「販」の字が変であることが分かります。

 

そして、サイトをアピールするフレーズとして「2019年顧客満足度、セールス満足度、アフターサービス満足度No.1!」と記載されていますが、このサイトのスクリーンショットを撮影したのは2019年6月17日です。

まだ2019年は半分も終わっていない!

このサイトは未来からやってきた…?

冷静になれば詐欺サイトの変な点にも気付くのでしょうが、たいていの人は「探していたあの商品がこんなに安くなっている!」という事実に気分が高揚してしまって細かいことが目に入らなくなってしまいます。

詐欺師たちは、そんな人間の心理をうまくつき、被害者が冷静になって考える機会を与えないようにしながら、巧みにお金を騙し取っていくのです。

インターネットショッピング詐欺被害の具体例

ここからは被害の具体例を挙げてインターネットショッピングサイト詐欺の手口を紹介したいと思います。

詐欺サイトを使用した事例

被害の状況

仕事で使っている高額な作業工具を購入しようと、インターネットショッピングサイトを巡回していたAさん。

Aさんが購入しようと思っているのは定価100万円を超える高額なもの。

ヤフオク!』等を見ると、ごくたま~に出品はあるものの、たいして安いわけでもなく、それなりの金額を支払って中古の機械を買うことにも若干の抵抗を覚えていました。

そんな折、商品名でグーグル検索して出てきたのが『X』というインターネットショッピングサイト。

なんと、ここではAさんが探していた高額な作業工具が定価の半額以下、50万円で購入できるのです。

しかし、「いくら何でも安すぎだろう。」と思ったAさん。

『X』というサイトに記載されている店の所在地をグーグルストリートビューで確認したところ、確かに『X』という店舗が存在するのが確認できました。

また、「何故そんなにも低価格で商品を提供できるのか?」というのをAさんが『X』の管理者にメールで問い合わせをしてみたところ、『X』の管理者からは素早く返信がありました。

「この作業工具はもうすぐ新型が出る予定なので、今のうちに在庫を捌きたくて特別価格で出品しているんですよ。」

 

Aさんがインターネットを駆使して情報を収集したところ、Aさんが探していた作業工具が近々モデルチェンジをするという話は本当でした。

グーグルストリートビューで確認したら実際に会社が存在していること、サイトの管理者の対応が迅速だったこと、サイトの管理者の説明が事実だったことなどから、Aさんはすっかり『X』が本物のインターネットショッピングサイトであると信じてしまいました。

「安く購入できるこの機会を逃してはいけない!」と思ったAさんは、インターネットショッピングサイト『X』で高額な作業工具を購入することを決めました。

個人情報などの入力を終えて代金を支払う段階になり、相手が指定してきたのは銀行振り込みでした。

振込先の銀行口座はインターネットショッピングサイト『X』に記載されている管理者とは別人の名義の口座です。

しかし、欲しかった作業工具を格安で手に入れることができると思っているAさんは、『X』の管理者が指定する銀行口座に商品代金を振り込んでしまいます。

その後、Aさんは『X』の管理者とは連絡が取れなくなりました。

もちろん、振り込んだお金は返ってきません。

Aさんは、大事な事業資金を騙し取られてしまったのでした。

この事例における詐欺を見破るポイント
住所だけでなく電話番号等でもグーグル検索する

Aさんがインターネットショッピングサイトに載っていた住所をグーグル検索し、それだけでなくストリートビューまで確認したのは素晴らしい対応だと思います。

しかし、ストリートビューで確認したときに『X』という会社が実在したことが、逆にAさんの信用を勝ち取る結果となってしまいました。

このAさんの事例のように、最近の手口では実在の会社名を騙った詐欺サイトも報告されています。

Aさんの事例では『X』という会社自体は存在するものの、実際には『X』という会社自体はインターネットショッピングをしていませんでした。

また、インターネットショッピングサイトに記載されていた「特商法に基づく表記」で記載された事業所の代表者名や電話番号等が違っており、Aさんが見ていたサイトが『X』という会社名を騙った詐欺サイトということは、あと少し注意深く確認していれば気付くことができたのです。

グーグル検索をする場合は、インターネットショッピングサイトに記載されている住所だけでなく、電話番号や代表者名の検索も行いましょう。

詐欺サイトの場合、電話番号や代表者名(個人名)については使い回していることも多々ありますので、過去の詐欺サイトが出てきたり、詐欺サイトの被害者が投稿した内容などが検索でヒットすることもあります。

決済手段として「銀行振り込み」を利用しない

インターネットショッピングを行うときに、主な代金の支払い方法としては「代引き払い」「銀行振り込み」「クレカ払い」「コンビニ払い」があると思いますが、詐欺師が使う決済方法は「銀行振り込み」が最も多いです。

銀行振り込みをする場合、特に気を付けないといけないのが口座の名義が個人の名義になっている場合です。

インターネットショッピングサイトに必ず存在する「特商法に基づく表記」で表示されている代表者名と振込先の銀行口座の名義人が一致しているのであれば大丈夫なのかもしれません。

しかし、特商法に基づく表記」の代表者名と振込先口座の名義人が違うような場合は99.9%クロです。

代金の支払い方法で騙された事例

被害の状況

アクセサリーが大好きなBさん。

友人のツイッターをチェックしていたある日、タイムラインで流れてきた広告に目を奪われました。

「あ、これ好きなブランド! えっ! セールやってるの? めっちゃ安いじゃん!」

Bさんは広告をクリックしてインターネットショッピングサイト『Y』に辿り着きました。

そのサイトで取り扱っている商品は、どれも定価の半額以下。

ずっと前からBさんが欲しかったネックレスも半額以下になっていました。

「私って、めっちゃツイてる!」

そう思ったBさんは、欲しかったネックレスをカートに入れてショッピングを進めます。

ただ、Bさんは『Y』というサイトのことを完全に信用していたわけではありません。

インターネットショッピングサイトを使った詐欺があるということをBさんは知っていましたし、銀行振り込みが危ないということも知っていました。

そこでBさんが選んだ支払い方法は「代引き」です。

代引きは手数料こそ発生するものの、商品を受け取ると同時に代金を支払うので「代金を支払ったのに商品が届かない」ということはありません(届いた商品が正規品なのか模造品なのかは確かめようがありませんが)。

インターネットショッピングサイト上での購入手続きを終え、欲しかったネックレスを格安で手に入れることができた嬉しさに心が満たされていたBさん。

そんなBさんのもとに、インターネットショッピングサイト『Y』の管理者からメールが届いたのは翌日でした。

 

B様、商品の購入ありがとうございました。」

 

 

「大変申し訳ありませんが、現在「代引き」での商品発送ができなくなっております。

 

 

下記のURLをクリックすると手数料が不要のコンビニ払いが利用できますので、お急ぎの場合はそちらから手続きを進めてください。」

 

 

銀行振り込みを希望される場合は返信のメールをお願いしておりますが、3日後までに連絡がない場合は注文をキャンセルとさせていただきます。」

 

 

 

『Y』というサイトには、使用できる支払い方法として「代引き」「銀行振り込み」「コンビニ払い」「クレカ払い」の4つがあったはずですが、業者からのメールでは支払い方法を「銀行振り込み」「コンビニ払い」の2つに限定してきています。

業者からのメールを受け取ったBさんには「銀行振り込みなんて絶対にしないけど、コンビニ払いも面倒だな」という気持ちと「一度は手に入ると思っていたネックレスが手に入らなくなるのは嫌だな」という気持ちの両方が芽生えました。

欲しかったネックレスを安く手に入れるチャンスを逃してなるものかと思ったBさんは、インターネットショッピングサイト『Y』の管理者が勧めてきたコンビニ払いをすることにしました。

近所のコンビニエンスストアに行ったBさんは、店内に置かれている端末を操作して、『Y』の管理者から送られてきたメールのリンクを開いた先にあったQRコードを読み込ませます。

そうすると、コンビニエンスストアに設置されている端末から料金の払込票がプリントアウトされてきたので、払込票の中身を確認することなく払込票を使って支払いを済ませました。

レジで払込票のバーコードをスキャンしてもらった時、レジの画面に表示されたのは欲しかったネックレスの金額と一緒です。

「よし、間違いない!」

そしてBさんはコンビニエンスストアでの支払いを終えたのでした。

コンビニエンスストアで支払いをしてから一週間、Bさんが頼んだネックレスはなかなか届きません。

インターネットショッピングサイト『Y』の管理者に問い合わせのメールをすると

 

「こんにちは、お客さん。

 

お客さんの入金は確認しており、すでに商品は発送していますが到着までに7~10日かかる場合もありますので少々お待ちください。」

 

 

との回答。

最初のメールでは「B様」と言っていたにもかかわらず、この時のメールでは「お客さん」という表現になっていることに若干の違和感を覚えたものの、仕方がないのでBさんはもうしばらく待つことにしました。

しかし、いくら待ってもBさんが注文したネックレスは届きません。

そして遂に『Y』の管理者とも連絡が取れなくなってしまったBさん。

「私、ちゃんとコンビニでネックレスの代金を支払ったよね?」

ふと不安に襲われたBさんは、コンビニエンスストアで支払いをした際の払込票を確認しました。

すると、その払込票にはインターネットショッピングサイト『Y』とは何の関係もないAmazonの文字が。

「え? 何で…? 私、騙されたの…?」

そう、Bさんが支払ったのはネックレスの代金ではなく、『Y』の管理者がAmazonで購入した商品の代金だったのでした。

この事例における詐欺を見破るポイント
大手のサービスにリンクがあるからと言って安心しない

グーグル、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックなど多くの人が利用しているSNSは、広告料を支払えば不特定多数の人に対してインターネットサービスを通じた広告を出すことは可能です。

もちろん、広告を出すのにも審査はありますし、出している広告が不適切だと判断されれば広告を出すことは出来なくなってしまいますが、たとえ短時間であっても多くの人が目にする大手のサービスに広告を出すことが出来るというのは詐欺師たちにとってはありがたいことです。

大手のSNSに表示される広告はまともなサイトが大半ではありますが、全てが安全というわけではなりません。

「コンビニ払い」にも注意

世の中がどんどん便利になり、現代人の身近な存在となったコンビニエンスストアでは様々な料金の収納代行サービスを行うようになっています。

もちろん、インターネットショッピングの代金の「コンビニ払い」に対応している所も増えています。

「コンビニ払い」をする場合であっても、代金を支払う際には「支払う金額は購入した商品の金額と同じか」「支払先は購入した先のサイトになっているか(又は購入した先のサイトが指定する収納代行業者になっているか)」をよく確認しましょう。

また、売買契約当初は別の支払い方法を選択していたにもかかわらず、後で相手から「コンビニ払い」への変更を求められた場合にも注意が必要です。

この場合、被害者自身が購入した商品の代金とみせかけて、犯人が別のインターネットショッピングサイト(Amazon等)で購入した商品の代金を支払わせる場合もあるからです。

なので、コンビニエンスストアに設置されている端末を操作して払込票を印刷するときは、印刷された払込票の内容をよく確認することが重要です。

正しい副業選びのポイント - GENESIS(ジェネシス)には要注意!

みなさん、いかがお過ごしですか?

「新型コロナの影響で収入が減って生活が苦しい」という人も多いのではないでしょうか。

かくいう私もその一人。

せっかく家を購入したのに、収入減のせいで住宅ローンが家計におもくのしかかってきています。

そんな折、友人からすごい副業を教えてもらいました。

それが、今から紹介するGENESISジェネシス)』です。

GENESISジェネシス)とは?

GENESISジェネシス)』というのは、毎日3万円がずっと手に入るという夢のような副業です。

一月3万円じゃなくて、毎日3万円です!

一ヶ月で20日働くとしても、60万円を稼ぐことが出来るんです。

今、月に60万円を稼ぐことが出来る人がどのくらいいますか?

ここまで稼げると、もはや副業ではなくて本業にしても良いくらいですね!

毎月60万円も収入が増えるなら、住宅ローンなんてすぐに返してしまえるし、そもそも毎日毎日嫌な仕事に行かなくていいですもんね。

ビバ! 『GENESISジェネシス)』!!

具体的にどうやって稼ぐの?

普通の人は、「そんなに簡単に毎日3万円稼げるの?」と思いますよね。

私もそうです。

では、どうやって毎日3万円を稼ぐのかというと、方法は簡単です。

パチンコ・パチスロをするだけ。

簡単でしょ?

え? そんなんで稼げるわけないって!?

批判はごもっとも。

だって、パチンコやパチスロはいわゆる遊戯なので、遊んでいてお金が増えるわけないですし、そもそも勝負に勝つかどうかは運によるところも大きいですよね。

ところが!

GENESISジェネシス)』が開発したアプリを、今あなたが持っているスマホにダウンロードすれば、ありとあらゆるホールの当たり台の情報が分かってしまうんです!!

いくらパチンコやパチスロが遊戯とはいえ、当たり台が分かっているならば勝つのはすごく簡単ですよね!?

いつも行くホールで見かける、勝ってばかりの常連さん。

その人も、もしかしたら『GENESISジェネシス)』の先輩かも!?

気になる費用は!?

そんなにオトクな『GENESISジェネシス)』ですが、残念ながらタダというわけではありません。

アプリをダウンロードするためには、入会手続きをして月額の利用料を支払う必要があります。

「こんなに稼げるアプリなんだから、利用料も高そう。」と心配しているあなた。

ご安心ください。

アプリの利用料は一月あたり15,000円です。

これが高いと思うかどうかは人によると思いますが、アプリを使えば一日で3万円稼ぐことが出来るということを考えれば、一ヶ月あたり15,000円の利用料が高いか安いかは、自ずと答えが出てきますよね!?

まとめ

今日は『GENESISジェネシス)』を取り上げてみました。

かなり説明を端折った部分もあるのですが、いかがでしたか?

すごく魅力的な副業だと思ったそこのアナタ。

善は急げです。

今すぐ持っているスマホを叩き割りましょう。

アナタには副業とかお金儲けとか、そんな話は向いていません。

欲を出して変な話に騙されないためにも、スマホを持たない方が良いと思います。

大半の人は『GENESISジェネシス)』が怪しいと気付くことが出来たと思いますが、ごく一部の人はこんな無茶苦茶な話でも信じてしまうんですよね。

実際に私が聞いた話では、『GENESISジェネシス)』に入会してもアプリは体験版のみ配信され、月額のサービス料を支払っても製品版のアプリは配信されないまま。

それどころか、「もっと稼ぐことっが出来るよ」と言って、他のサービスに誘導されて更にお金を毟り取られるみたいです。

まともに生きている人なら分かっていることですが、絶対に楽してお金は稼げません。

GENESISジェネシス)』の話に少しでもときめいた人は、もっと堅実な生活を心がけてくださいね。

はじめまして

はじめまして、春日ハルと申します。

これまで別の場所でブログを書いておりましたが、この度はてなブログに引っ越してまいりました。

このブログでは、詐欺にひっかからないための知識等について綴っていく予定です。

それでは今後ともよろしくお願いします。

 

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