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インターネット詐欺の手口:被害を避けるためのポイント

現在、日本では詐欺の被害件数・被害額が高水準で推移していますね。

この記事を読む人の中には「自分だけは関係ない」とか「自分が騙されるわけがない」と思う人もいるでしょうが、詐欺師たちは様々な角度から人間の心理を巧みに操ってきます。

そのため「自分は騙されない」という固定観念を持っている人ほど騙されやすいのも最近の詐欺の手口の特徴です。

ここでは、インターネットショッピング詐欺の手口について、具体的な例を挙げて説明していきたいと思います。

インターネットショッピング詐欺とは?

インターネットショッピング詐欺とは、読んで字のごとくインターネットショッピングを通じて行われる詐欺のことです。

一般的な手口としては、インターネットショッピングサイトで商品を注文して代金を支払ったにもかかわらず商品が届かず、業者と連絡も取れなくなるといったパターンが多いようです。

インターネットショッピングサイト自体が巧妙に作られていますし、本物そっくりに作られた偽サイト(コピーサイト)が用いられることもあります。

次に紹介するのは、実際に存在する(していた)インターネットショッピングサイトを装った詐欺サイトのスクリーンショットです。

詐欺サイトの例1:yttingbag.website

このサイトは、パソコンで表示するとこの画面しか出てこず、表示されているリンクをクリックしても画面が切り替わることはありません。

しかし、スマートフォンで表示すると次のように画面が切り替わります。

スマートフォンのブラウザではリンクも正常に働きますし、普通のショッピングサイトのように商品をカートに入れることもできます。

しかし、サイト内のリンクから辿っていくことができる特定商取引に関する法律に基づく表記』を確認すると…

ブラウザに表示されているものとURLが全然違うことが分かります。

詐欺サイトの例2:prenatalyoga.xyz

このサイトはリンクに不自然な点もありませんし、一見するととても上手に作られているサイトです。

 

しかし、よく見ると漢字が一部不自然で、通販の「販」の字が変であることが分かります。

 

そして、サイトをアピールするフレーズとして「2019年顧客満足度、セールス満足度、アフターサービス満足度No.1!」と記載されていますが、このサイトのスクリーンショットを撮影したのは2019年6月17日です。

まだ2019年は半分も終わっていない!

このサイトは未来からやってきた…?

冷静になれば詐欺サイトの変な点にも気付くのでしょうが、たいていの人は「探していたあの商品がこんなに安くなっている!」という事実に気分が高揚してしまって細かいことが目に入らなくなってしまいます。

詐欺師たちは、そんな人間の心理をうまくつき、被害者が冷静になって考える機会を与えないようにしながら、巧みにお金を騙し取っていくのです。

インターネットショッピング詐欺被害の具体例

ここからは被害の具体例を挙げてインターネットショッピングサイト詐欺の手口を紹介したいと思います。

詐欺サイトを使用した事例

被害の状況

仕事で使っている高額な作業工具を購入しようと、インターネットショッピングサイトを巡回していたAさん。

Aさんが購入しようと思っているのは定価100万円を超える高額なもの。

ヤフオク!』等を見ると、ごくたま~に出品はあるものの、たいして安いわけでもなく、それなりの金額を支払って中古の機械を買うことにも若干の抵抗を覚えていました。

そんな折、商品名でグーグル検索して出てきたのが『X』というインターネットショッピングサイト。

なんと、ここではAさんが探していた高額な作業工具が定価の半額以下、50万円で購入できるのです。

しかし、「いくら何でも安すぎだろう。」と思ったAさん。

『X』というサイトに記載されている店の所在地をグーグルストリートビューで確認したところ、確かに『X』という店舗が存在するのが確認できました。

また、「何故そんなにも低価格で商品を提供できるのか?」というのをAさんが『X』の管理者にメールで問い合わせをしてみたところ、『X』の管理者からは素早く返信がありました。

「この作業工具はもうすぐ新型が出る予定なので、今のうちに在庫を捌きたくて特別価格で出品しているんですよ。」

 

Aさんがインターネットを駆使して情報を収集したところ、Aさんが探していた作業工具が近々モデルチェンジをするという話は本当でした。

グーグルストリートビューで確認したら実際に会社が存在していること、サイトの管理者の対応が迅速だったこと、サイトの管理者の説明が事実だったことなどから、Aさんはすっかり『X』が本物のインターネットショッピングサイトであると信じてしまいました。

「安く購入できるこの機会を逃してはいけない!」と思ったAさんは、インターネットショッピングサイト『X』で高額な作業工具を購入することを決めました。

個人情報などの入力を終えて代金を支払う段階になり、相手が指定してきたのは銀行振り込みでした。

振込先の銀行口座はインターネットショッピングサイト『X』に記載されている管理者とは別人の名義の口座です。

しかし、欲しかった作業工具を格安で手に入れることができると思っているAさんは、『X』の管理者が指定する銀行口座に商品代金を振り込んでしまいます。

その後、Aさんは『X』の管理者とは連絡が取れなくなりました。

もちろん、振り込んだお金は返ってきません。

Aさんは、大事な事業資金を騙し取られてしまったのでした。

この事例における詐欺を見破るポイント
住所だけでなく電話番号等でもグーグル検索する

Aさんがインターネットショッピングサイトに載っていた住所をグーグル検索し、それだけでなくストリートビューまで確認したのは素晴らしい対応だと思います。

しかし、ストリートビューで確認したときに『X』という会社が実在したことが、逆にAさんの信用を勝ち取る結果となってしまいました。

このAさんの事例のように、最近の手口では実在の会社名を騙った詐欺サイトも報告されています。

Aさんの事例では『X』という会社自体は存在するものの、実際には『X』という会社自体はインターネットショッピングをしていませんでした。

また、インターネットショッピングサイトに記載されていた「特商法に基づく表記」で記載された事業所の代表者名や電話番号等が違っており、Aさんが見ていたサイトが『X』という会社名を騙った詐欺サイトということは、あと少し注意深く確認していれば気付くことができたのです。

グーグル検索をする場合は、インターネットショッピングサイトに記載されている住所だけでなく、電話番号や代表者名の検索も行いましょう。

詐欺サイトの場合、電話番号や代表者名(個人名)については使い回していることも多々ありますので、過去の詐欺サイトが出てきたり、詐欺サイトの被害者が投稿した内容などが検索でヒットすることもあります。

決済手段として「銀行振り込み」を利用しない

インターネットショッピングを行うときに、主な代金の支払い方法としては「代引き払い」「銀行振り込み」「クレカ払い」「コンビニ払い」があると思いますが、詐欺師が使う決済方法は「銀行振り込み」が最も多いです。

銀行振り込みをする場合、特に気を付けないといけないのが口座の名義が個人の名義になっている場合です。

インターネットショッピングサイトに必ず存在する「特商法に基づく表記」で表示されている代表者名と振込先の銀行口座の名義人が一致しているのであれば大丈夫なのかもしれません。

しかし、特商法に基づく表記」の代表者名と振込先口座の名義人が違うような場合は99.9%クロです。

代金の支払い方法で騙された事例

被害の状況

アクセサリーが大好きなBさん。

友人のツイッターをチェックしていたある日、タイムラインで流れてきた広告に目を奪われました。

「あ、これ好きなブランド! えっ! セールやってるの? めっちゃ安いじゃん!」

Bさんは広告をクリックしてインターネットショッピングサイト『Y』に辿り着きました。

そのサイトで取り扱っている商品は、どれも定価の半額以下。

ずっと前からBさんが欲しかったネックレスも半額以下になっていました。

「私って、めっちゃツイてる!」

そう思ったBさんは、欲しかったネックレスをカートに入れてショッピングを進めます。

ただ、Bさんは『Y』というサイトのことを完全に信用していたわけではありません。

インターネットショッピングサイトを使った詐欺があるということをBさんは知っていましたし、銀行振り込みが危ないということも知っていました。

そこでBさんが選んだ支払い方法は「代引き」です。

代引きは手数料こそ発生するものの、商品を受け取ると同時に代金を支払うので「代金を支払ったのに商品が届かない」ということはありません(届いた商品が正規品なのか模造品なのかは確かめようがありませんが)。

インターネットショッピングサイト上での購入手続きを終え、欲しかったネックレスを格安で手に入れることができた嬉しさに心が満たされていたBさん。

そんなBさんのもとに、インターネットショッピングサイト『Y』の管理者からメールが届いたのは翌日でした。

 

B様、商品の購入ありがとうございました。」

 

 

「大変申し訳ありませんが、現在「代引き」での商品発送ができなくなっております。

 

 

下記のURLをクリックすると手数料が不要のコンビニ払いが利用できますので、お急ぎの場合はそちらから手続きを進めてください。」

 

 

銀行振り込みを希望される場合は返信のメールをお願いしておりますが、3日後までに連絡がない場合は注文をキャンセルとさせていただきます。」

 

 

 

『Y』というサイトには、使用できる支払い方法として「代引き」「銀行振り込み」「コンビニ払い」「クレカ払い」の4つがあったはずですが、業者からのメールでは支払い方法を「銀行振り込み」「コンビニ払い」の2つに限定してきています。

業者からのメールを受け取ったBさんには「銀行振り込みなんて絶対にしないけど、コンビニ払いも面倒だな」という気持ちと「一度は手に入ると思っていたネックレスが手に入らなくなるのは嫌だな」という気持ちの両方が芽生えました。

欲しかったネックレスを安く手に入れるチャンスを逃してなるものかと思ったBさんは、インターネットショッピングサイト『Y』の管理者が勧めてきたコンビニ払いをすることにしました。

近所のコンビニエンスストアに行ったBさんは、店内に置かれている端末を操作して、『Y』の管理者から送られてきたメールのリンクを開いた先にあったQRコードを読み込ませます。

そうすると、コンビニエンスストアに設置されている端末から料金の払込票がプリントアウトされてきたので、払込票の中身を確認することなく払込票を使って支払いを済ませました。

レジで払込票のバーコードをスキャンしてもらった時、レジの画面に表示されたのは欲しかったネックレスの金額と一緒です。

「よし、間違いない!」

そしてBさんはコンビニエンスストアでの支払いを終えたのでした。

コンビニエンスストアで支払いをしてから一週間、Bさんが頼んだネックレスはなかなか届きません。

インターネットショッピングサイト『Y』の管理者に問い合わせのメールをすると

 

「こんにちは、お客さん。

 

お客さんの入金は確認しており、すでに商品は発送していますが到着までに7~10日かかる場合もありますので少々お待ちください。」

 

 

との回答。

最初のメールでは「B様」と言っていたにもかかわらず、この時のメールでは「お客さん」という表現になっていることに若干の違和感を覚えたものの、仕方がないのでBさんはもうしばらく待つことにしました。

しかし、いくら待ってもBさんが注文したネックレスは届きません。

そして遂に『Y』の管理者とも連絡が取れなくなってしまったBさん。

「私、ちゃんとコンビニでネックレスの代金を支払ったよね?」

ふと不安に襲われたBさんは、コンビニエンスストアで支払いをした際の払込票を確認しました。

すると、その払込票にはインターネットショッピングサイト『Y』とは何の関係もないAmazonの文字が。

「え? 何で…? 私、騙されたの…?」

そう、Bさんが支払ったのはネックレスの代金ではなく、『Y』の管理者がAmazonで購入した商品の代金だったのでした。

この事例における詐欺を見破るポイント
大手のサービスにリンクがあるからと言って安心しない

グーグル、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックなど多くの人が利用しているSNSは、広告料を支払えば不特定多数の人に対してインターネットサービスを通じた広告を出すことは可能です。

もちろん、広告を出すのにも審査はありますし、出している広告が不適切だと判断されれば広告を出すことは出来なくなってしまいますが、たとえ短時間であっても多くの人が目にする大手のサービスに広告を出すことが出来るというのは詐欺師たちにとってはありがたいことです。

大手のSNSに表示される広告はまともなサイトが大半ではありますが、全てが安全というわけではなりません。

「コンビニ払い」にも注意

世の中がどんどん便利になり、現代人の身近な存在となったコンビニエンスストアでは様々な料金の収納代行サービスを行うようになっています。

もちろん、インターネットショッピングの代金の「コンビニ払い」に対応している所も増えています。

「コンビニ払い」をする場合であっても、代金を支払う際には「支払う金額は購入した商品の金額と同じか」「支払先は購入した先のサイトになっているか(又は購入した先のサイトが指定する収納代行業者になっているか)」をよく確認しましょう。

また、売買契約当初は別の支払い方法を選択していたにもかかわらず、後で相手から「コンビニ払い」への変更を求められた場合にも注意が必要です。

この場合、被害者自身が購入した商品の代金とみせかけて、犯人が別のインターネットショッピングサイト(Amazon等)で購入した商品の代金を支払わせる場合もあるからです。

なので、コンビニエンスストアに設置されている端末を操作して払込票を印刷するときは、印刷された払込票の内容をよく確認することが重要です。